カウンセラー養成講座を無事に終えて後は資格試験を受けるだけ。そんなある日、2月のことでした。 アルバイト先の写真現像所が倒産してしまいました。さあ、困った。 生活費はどうする?カウンセラー資格をとったとして、カウンセラーを続ける? それとも再…
アルバイトをはじめて半年後、私は産業カウンセラー協会の「カウンセラー養成講座」を受講しはじめました。脱サラして1年後、やっと念願かないカウンセリングの技法を学べるようになったのです。毎週1回、日曜日に一日かけてロールプレイングをやり、カウ…
アルバイト先として、私は写真の現像所での宅配ドライバーを選びました。当時はまだデジカメが今ほど普及しておらず、写真をとったら、フィルムをクリーニング屋やタバコ屋などの集配所に持ち込んで、そこで現像してもらうのが一般的でした。私はそうしたフ…
入院してだいたいひと月半くらいだったでしょうか、無事に退院することになりました。 退院したけれども、特にやることなどありません。仕事はすでに辞めてしまったし・・・今更大学院を受験する元気もないし・・・カウンセラーはどうしよう・・・あきらめよ…
もうすぐ退院という日が近づいてくると、「一時帰宅」の許可がでます。 二泊三日で家に帰るのです。病院からでて歩いていると、体に力が入らなくなっているのがわかります。「ああ、一日中寝ていると、こんなにも体力が低下してくるんだな」「元気があたりま…
医師の説明は続きます。「今までは無理に無理を重ねて、がむしゃらに働いてきたのでしょう。これからは仕事をセーブして、力の抜き方を覚えていかないと回復は難しいと思います」 私は無言で医師の説明を聞いていました。 診察を終えてベッドに横になってい…
入院中の楽しみは喫煙室でタバコを吸うこと。入院友達もでき、いろいろな話をしました。躁うつ病で入退院を繰り返す方 自殺未遂を繰り返す方 病院内で明らかに普通ではない行動を繰り返す方こうした人たちと接していて、いわゆる「心理学」の勉強もなんだか…
大学院の受験を断念し、おとなしく医者に通い始めた私に、ある日お医者さんが入院を勧めてくれました。「日常生活の憂いから離れて、入院してみたらどうですか。入院しても外出は自由だし、入院してしまえば『現実』は追いかけてこないですから。」あまり気…
会社を辞めた私は早速、臨床心理士の資格について調べはじめました。 まず、資格取得が可能な大学院に入学する。健常なときであれば、このような非現実的な人生の目標を立てたりはしないのでしょうが、当時は病のために判断力が落ちているうえ、「早く元気に…
「心をケアする仕事がしたい」この本のタイトルに妙に心を惹かれてしまい、迷うことなく購入し夢中になって読み始めました。「今まで、ずっとモノを売り、お金を儲けることに一生懸命になってきた。でももう営業はできないのだし、 ここで人生の方向を変えて…
休職も三度目になると、もういい加減「あきらめがつく」というか、「投げやりになる」というか・・「もう営業としては使ってはもらえないだろうな」ということが自分でもわかりました。休職中は自暴自棄になっていたと思います。もはや家でじっとしていれば…
再度の復帰を果たしたものの、ものの1週間で具合が悪くなりました。うつ状態が悪くなっているのがはっきり実感できました。朝、「外回り」と称して会社を出たら、すぐ人目につかない公園に直行、公園の横に車をとめてそこで午前10時くらいから車の中で昼…
その17 仕事へのしがみつき 2度目の休職中、上司が医師を訪ねてくれたようです。 「体調がずいぶん悪いようだが、具合はどうなのか?」 「今のようにストレスが大きい職種が本人の負担になっていないか?」 「本人の配置転換は症状の改善に効果があるか?…
体調に不安を抱えながらも、私は仕事量を増やしていきました。 私は自ら志願してある大型の物件を追いかけ始めました。 かなり無理して動いていたと思います。 土曜日の休日も会社に内緒で出勤したりしておりました。 体調がよくないゆえの焦りだったと思い…
休職してひと月で、職場に復帰を果たした私でしたが、いまひとつ「本調子ではないな・・・」と感じていました。新規の開拓の飛びこみ営業をやる気もなく、一日をダラダラと過ごすというか・・・ 「新規獲得先の調査に行きます。」なんて言って、ターゲット先…
私はひと月ほど休みをもらい休養することになりました。 医療機関を受診して薬をもらい、先生に尋ねます。 「休養期間中は何をすればいいのですか?」と私。 「ゴロゴロしてください」と先生。 「?」 「ゴロゴロって何をすればいいのだろう?」 私はちょっ…
カフェで調子を崩して以来、仕事が身に入りません。 もうこの時期になると、自分の心身の不調をごまかしきれなくなっていたのだと思います。 実は妻との死別後、心療内科で安定剤をもらっていた時期がありました。そんな経験から「うつ」というものについて…
あれは、夏の暑いでした。 私はオフィスビルにあるコーヒーショップでコーヒーを飲みながら、同僚と仕事の打ち合わせをしておりました。 打ち合わせは滞りなく進み、談笑していたところ、突然気分が悪くなったのです。 グッと胸がつかえるというか・・・ 一…
げっそりと痩せてしまったのは、自分でも知らない間に「うつ状態」に入ってしまっていたのかもしれません。 でも、私は別に気に留めるのでもなく、しゃかりきに仕事をしておりました。 普段以上に飛び込み営業の件数を増やし、難易度の高い物件に挑戦し・・…
子会社への転籍の命令にも、私は淡々としていたと思います。 「負けるが勝ち」というかなんというか・・・「怒り」をあらわにするでもなく、 「不安」にさいなやまされることもなく、比較的穏やかな日々を過ごしていたかもしれません。 ある日、会社から「転…
6月のある朝、出勤してみるとオフィスのみんなが集まってひとつの新聞を眺めています。 「どうしたんですか?なにかニュースでも?」 先輩が無言である記事を指さしました。 するとそこには「現在子会社に出向中の社員をすべて子会社に転籍の扱いとする」と…
ボチボチと仕事をしていたある日、辞令がおりました。 新しく発足された子会社に出向するようにということでした。 出向先の部署は清涼飲料水自動販売機の新規開拓担当。 飛び込みをメインに自動販売機の設置先を増やしていく仕事です。 出向したと同時に、…
話は少しさかのぼります。 妻を亡くしてひと月ばかりしたときでしょうか。 職場に復帰することになりました。 会社が親切に配慮してくれて、それまでの繁忙な部署から、時間の自由がきき定時には帰れる部署に配置換えとなりました。 朝、出勤していてぼおー…
妻の一周忌が終わるまでは、よく墓参りに行っておりました。 2週に1回くらいでしょうか。 今考えれば、結構マメに通っていたと思います。 お墓のあるお寺は、ちょっと郊外というか山の中にあります。 空が高くて空気が澄んでいて、そんな空気にふれるのが…
四十九日が終わるまで、妻と住んでいた家はそのままにしておきました。 が、もうすでに実家に帰ってきているので、そのまま維持しておくわけにはいきません。ローンも残っていたし、「住んでいない家のローンを払い続ける」ことは経済的にも大きな負担となっ…
当時、子供は3歳と1歳でした。 3歳の長男は昼間は保育園に行きます。 毎日、保育園の入り口で大泣きしていました。 今までとはガラリと環境が変わってしまう。 優しかったママにはもう会えない。 長男にとって大きなストレスがかかっていたと思います。 …
葬儀が終わり、初七日が過ぎると私は精力的に動き始めました。 まず、仕事をどうするか? 子供たちをどう育てる? 役所や会社やら保険の手続きは? 持ち家をどうする? お墓は? 会社とこれからのことを相談し、役所にでかけ、不動産屋に相談し、私は毎日を…
当時の私は本当に周囲の人々に恵まれていたと思います。 私は子供を連れて実家に帰ることにしました。 それまでの間、まだ幼かった息子二人は、少しの間、妻の実家で預かってもらうことになりました。 役所に行っていろいろな手続きをしたり、引っ越しのため…
「誰かと死に別れる」こと以上の悲しみはこの世にはないのではないでしょうか? もう17年くらい前になりますか、私も妻と死に別れた経験があります。 私は当時36歳。働き盛りのころでした。妻と一緒に二人の子を育て、マンションを買い、「人生だいぶ落…