その14 退屈な休養生活
私はひと月ほど休みをもらい休養することになりました。
医療機関を受診して薬をもらい、先生に尋ねます。
「休養期間中は何をすればいいのですか?」と私。
「ゴロゴロしてください」と先生。
「?」
「ゴロゴロって何をすればいいのだろう?」
私はちょっととまどってしまいました。
幸いにも薬は自分に合っていて、副作用に苦しむことはありませんでした。
でも一日何をすればいい?
最初の1週間は何もしないで寝ていることが嬉しかったのですが、10日くらいからから時間を持て余し始めました。
一日ぼんやりと家にいるのが辛くなってきたのです。
私は復帰を焦り始めました。
「はやく仕事に戻らなけらば、担当をはずされてしまう」
「自分の評価はどうなるのだろう?」
「自分のポストがなくなってしまう」
実際にはそんなことはなかったのでしょうけれど、やはり「うつ」というのは不安を増幅させてしまうのでしょう。
「考える必要のない不安」に悩みはじめます。
10日くらいたって、私は少し運動をはじめました。
午前中に30分くらいランニングをして、午後は買い物に行ったり、本屋に行ったりして、意識的に活動量を増やしていきました。
会社には「もう大丈夫、復帰できます」と連絡をいれ、予定どおりひと月たったところで復職させてもらうことにしました。
休職最後の一日、私は房総半島一周のドライブにでかけました。
復職前に少し体を動かしておこうと思ったのです。
ところが・・・
ドライブの途中で突然また気分が悪くなりました。
一月休んだはずなのに・・
十分休養したはずなのに・・・
明日から会社だというのに、また不安に包まれてしまいました。
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