カウンセラーの語る死別の体験 うつの経験

千葉県船橋市にあるクライシスカウンセリング専門の相談室のブログです。

その24  医師と闘う

医師の説明は続きます。

「今までは無理に無理を重ねて、がむしゃらに働いてきたのでしょう。これからは仕事をセーブして、力の抜き方を覚えていかないと回復は難しいと思います」
私は無言で医師の説明を聞いていました。


診察を終えてベッドに横になっていたのですが、ふつふつと怒りが湧いてきました。
それまでの自分の「生き方」や「頑張り」を否定されたような気がしたのです。

体力的にしんどくても、どんなに辛いことがあっても、自分は仕事に関しては手を抜かず、全力を尽くしてきた。どんな時でも根を上げず、常に求められる結果を出してきた。
自分にはそんなプライドがありました。
そのプライドを否定されて、平静な気分ではいられません。

「あの医者と闘おう」

決意を固めて、私は看護婦さんを通じて、医師に面会を求めました。
これからどんな治療をしていくのか、なんでがむしゃらに仕事をしてはいけないのか
それまでため込んでいた怒りと不満を医師にぶつけてみたのです。

医師は平然として説明します。

「うつから回復したとしても、回復後にまた無理をしてしまった挙句に体調を崩し、また病院に舞い戻ってしまう人が多いんです。以前のように無理を重ねていたら、回復しては病院に戻りの繰り返しになってしまいますよ。」

私は反論らしい反論もできずに、そのままベッドに戻りふて寝しました。
「闘う」といっても何もできず、何か釈然としない思いだけが私の中に残りました。