カウンセラーの語る死別の体験 うつの経験

千葉県船橋市にあるクライシスカウンセリング専門の相談室のブログです。

その2 他力を借りる

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当時の私は本当に周囲の人々に恵まれていたと思います。

私は子供を連れて実家に帰ることにしました。

 

それまでの間、まだ幼かった息子二人は、少しの間、妻の実家で預かってもらうことになりました。

 

役所に行っていろいろな手続きをしたり、引っ越しのための準備をしたりしている間、義父母が子供たちにミルクを飲ませ、おしめを替えてくれました。

 

会社は事情を考慮していただき、定時に仕事を終えられる部署に異動させてくれるとの話をいただきました。

 

この時ほど「人の情けのありがたさ」を感じたことはなかった。

 

それまで自分は「自分のことはすべて自分でやるべし」と考えていました。

 

でも本当はそうではない。

 

「本当に苦しいときには人の助けを借りてもいいのだ」ということが、このときにはじめてわかったのだと思います。

 

もしもこの時、何事もすべて自分ひとりで解決しようとしたら、生活は破綻していたかもしれません。

その1  妻の死

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「誰かと死に別れる」こと以上の悲しみはこの世にはないのではないでしょうか?

 

もう17年くらい前になりますか、私も妻と死に別れた経験があります。

 

私は当時36歳。働き盛りのころでした。妻と一緒に二人の子を育て、マンションを買い、「人生だいぶ落ち着いてきたな」と感じ始めた矢先のことでした。

 

誰かを亡くしてしまうと、その日を境にして、自分をとりまく世界が一変してしまいます。

 

たった一日を境にして、妻が元気で、ニコニコと笑っていた日々とは全く違った世界を生きることになるのです。

 

『その段差』はあまりにも大きく、寂しさ、くやしさ、怒り、後悔、さまざまな感情がいちどきに押し寄せてきます。しかし時間を巻き戻すことは決してできません。

 

でも、いつまでも悲しんでいることもできないのです。

 

当時子供は3歳と1歳。

 

二人ともおしめがとれていませんでした。

  

「仕事に行っているあいだは誰が子供を見る?」

 

「離乳食やミルクはどうする?」

 

「おしめをどうする?」

 

「そもそも仕事を続けられる?」

 

葬儀が終わると「日常」がもどってきます。

仕事や住居、子育て、人生の目標など、いちどきに見直さなければ

ならなくなってしまいます。

 

日々の生活をどうするか?

私はまずそこから考えなければならなかったのです。