その20 会社を辞める
「心をケアする仕事がしたい」
この本のタイトルに妙に心を惹かれてしまい、迷うことなく購入し夢中になって読み始めました。
「今まで、ずっとモノを売り、お金を儲けることに一生懸命になってきた。でももう営業はできないのだし、
ここで人生の方向を変えてやろう。」
そんなことを考えた私は心理系の仕事について調べ始めます。
私はすっかりその気になってしまいました。
「人生の方向転換をする」というビジョンに夢中になってしまったのです。
ところで・・・・
このときの自分の決断が正しかったのかと言えばそうではありません。
むしろ大きな失敗をしたと今では考えています。
確かに今はカウンセラーとして活動をしておりますが、だからといって、体調が悪く、現実を吟味する能力が著しく落ちているこの時期に「会社を辞める」などという「大きな人生の決断」などするべきではなかったのです。
「うつ状態」のときには、「自分が生きている意味」を真剣に考えてしまったり、「なぜ生きているのだろう」という問いに苦しむことがよくあります。
この時の自分がまさにこんな状態だったのでしょう。
しかし、私は勢いに任せて辞表を提出してしまいました。
「臨床心理士の資格を取得する。そのために大学院を受験する」
こんな無謀な目標をたてて実行に移し始めます。
思えばこの誤った決断のおかげで、私は大きな人生のピンチを迎えることになります。