その2 他力を借りる
当時の私は本当に周囲の人々に恵まれていたと思います。
私は子供を連れて実家に帰ることにしました。
それまでの間、まだ幼かった息子二人は、少しの間、妻の実家で預かってもらうことになりました。
役所に行っていろいろな手続きをしたり、引っ越しのための準備をしたりしている間、義父母が子供たちにミルクを飲ませ、おしめを替えてくれました。
会社は事情を考慮していただき、定時に仕事を終えられる部署に異動させてくれるとの話をいただきました。
この時ほど「人の情けのありがたさ」を感じたことはなかった。
それまで自分は「自分のことはすべて自分でやるべし」と考えていました。
でも本当はそうではない。
「本当に苦しいときには人の助けを借りてもいいのだ」ということが、このときにはじめてわかったのだと思います。
もしもこの時、何事もすべて自分ひとりで解決しようとしたら、生活は破綻していたかもしれません。