カウンセラーの語る死別の体験 うつの経験

千葉県船橋市にあるクライシスカウンセリング専門の相談室のブログです。

その22  入院を決心する

大学院の受験を断念し、おとなしく医者に通い始めた私に、ある日お医者さんが入院を勧めてくれました。

「日常生活の憂いから離れて、入院してみたらどうですか。入院しても外出は自由だし、入院してしまえば『現実』は追いかけてこないですから。」

あまり気が乗らなかったのですが、今回は医師の勧めにしたがって精神病院に入院してみることにしました。

しかしこの入院を転機に、なかなか治らなかったうつも回復に向けて大きく動き始めました。

病院での生活は退屈そのものです。

テレビも見れない、雑誌も読めない、携帯電話も持ち込み禁止・・・外出も実際には禁止でした。
結局一日中横になって寝ていることしかできないのです。

最初のころはじっとして、寝ていることが辛くて辛くて・・

でも入院3日目をすぎると、あきらめがついたのか、体がなじんできたのか、急に疲れを感じはじめて横になっている時間も増えていきました。

でも結局、この「何もしないで横になっている」という経験が良かったのかもしれません。
それまでは少し良くなるとすぐに仕事に復帰し、活動をはじめていたため、うつを中途半端な状態で抱えることになってしまっていたと思うのです。

休んで少したまったエネルギーを、すぐに動いてしまい使い果たしてしまう。結局心身の不調は良くなったり、
悪くなったりを繰り返してしまう。こういう状態は自分自身でも「良くなっているのか、悪くなっているのか」という迷いに繋がります。

ところが入院してしまうと、少し元気になった(と感じた)からといって動くことはできません。
おとなしく寝ていなければなりません。こうしてエネルギーを回復していったのだと思います。