その5 遺品を整理する
四十九日が終わるまで、妻と住んでいた家はそのままにしておきました。
が、もうすでに実家に帰ってきているので、そのまま維持しておくわけにはいきません。ローンも残っていたし、「住んでいない家のローンを払い続ける」ことは経済的にも大きな負担となってきていました。
結局、家は処分しなければなりません。
そのために、家財道具の一切合切を処分する必要がありました。
部屋の灯り
鏡台
テーブル
食器棚
書籍
などなど
すべてを処分して、部屋がからっぽになったときはさすがに胸に迫るものがありました。「夫婦の思い出」も一緒に処分したような気分だったのです。
でも、今にしておもえば、それでよかったのだと思います。
遺品を処分したときにはいろいろ思うことがありましたが、あのとき思い切ったからこそ、「妻の死」という現実を受け入れることができたのであるし、新しい生活を始めるふんぎりをつけられたのだと思います。
遺品はすべて処分するのではなく、なにか大切なものはひとつかふたつは残しておかねばならないそうですね。
私が残したものは、写真と妻のサングラス。そして妻が持ち歩いていたカバン。
今ではほとんど遺品を眺めることはありませんが・・・