その3 感情の麻痺
葬儀が終わり、初七日が過ぎると私は精力的に動き始めました。
まず、仕事をどうするか?
子供たちをどう育てる?
役所や会社やら保険の手続きは?
持ち家をどうする?
お墓は?
会社とこれからのことを相談し、役所にでかけ、不動産屋に相談し、私は毎日をかなり活動的に過ごしました。一日を
精力的に動いいていると、「悲しい」とか「寂しい」とかいう気持ちを忘れることができるんですね。
そのときは「悲しんでいる暇はない」とか「案外自分も前向きだな」と思っていたのですが、今にして思えばここが「落とし穴」でした。
人は大きな衝撃を受けると、自分の感情を麻痺させて事態を乗り切ろうとすることがあります。「悲しみを感じない」状態はこの「感情の麻痺」が働いていたんですね。
当時は本当に必死で、「麻痺」させることでピンチを乗り越えようとしていたのでしょう。
あのときは仕方がなかった。
でもこのときの「無理」が数年後に出てくることになったのだと思います。